the otherside quartet アザーサイド・カルテット

ピアニスト古谷淳最新のリーダー・プロジェクト。

​”アザーサイド・カルテットについて           古谷淳”

僕の音楽はジャズというイディオムを通じて育まれてきたことは間違いない。

しかし僕の曲たちは必ずしもジャズと呼ばれることを必要とはしていない。

そもそも音楽におけるカテゴリーというものはその音楽の本質にとってあまり重要ではない。

また一つには現代社会の中で多くの人たちが言う所の『ジャズ』という言葉が指し示す音楽の範囲と現在進行形の流動的でいながらその歩んだ歴史の一片たりとも失うことのない

このジャズという音楽そのものが真に意味するものとの大きな隔たりを感じていること。

そんな中で自分の音楽をジャズという言葉で表すことにある種の違和感を覚えた。

アザーサイドで演奏する楽曲は皆僕にとってとてもパーソナルなテーマを持っている。

旅、出会いや別れ、家族、喜びや悲しみ、生命と自然。

これらは自分以外の多くの人々にとってもやはり個人的で重要なテーマ、シーンだと思う。だからきっと僕は多くの人と共感し合いこの音楽を共有できる、と確信している。時に映画の様に、または一冊の本の様に。

長い間音楽に何か物語のような言葉が重なって(言葉であって言葉でない、いわゆる共感覚というものであろうか)聴こえていた。それはたとえ僕が聴き手側にある時にも様々な音楽家たちの

楽曲、演奏を通じて語られる僕自身の物語に他ならない。

西口明宏、千北祐輔、服部正嗣というアーティストたちの手を借りて

楽曲たちが語るものが聴いてくれる人たちそれぞれの物語であることを切に願う。